8月15日は終戦記念日。この時期になると「黒い雨」を読もうかという気持ちになる。
あらすじは以下の通り(新潮社より)
一瞬の閃光に街は焼けくずれ、放射能の雨のなかを人々はさまよい歩く。原爆の広島――罪なき市民が負わねばならなかった未曾有の惨事を直視し、“黒い雨”にうたれただけで原爆病に蝕まれてゆく姪との忍苦と不安の日常を、無言のいたわりで包みながら、悲劇の実相を人間性の問題として鮮やかに描く。被爆という世紀の体験を、日常の暮らしの中に文学として定着させた記念碑的名作。
B29、人間魚雷、ピカドン(原爆のこと)、ヒロポン(覚醒剤的なやつ)など、原爆という言葉と共に思い出される言葉がある。「黒い雨」は、お偉方や敵地に赴いた方ではない一般市民目線のお話。
「戦争はいやだ。勝敗はどちらでもいい。早く済みさえすればいい。いわゆる正義の戦争よりも不正義の平和の方がいい。」「長期にわたる戦時下では、大きな町ほど住民が食生活に困るものだということがわかりました。そして戦争というものは老若男女を嬲り殺しにするものだということがよくわかりました。」と言う言葉が印象的だ。
制限のある生活、長期にわたる食糧不足、そして原爆が落とされた近辺の市中ではあちこちに死体があり腐敗し悪臭を放つ。負傷者も放射能で皮膚が爛れ、身体に蛆がわく。もちろん役所も病院も正常に機能してない。とんでもなく悲惨な状況。
勝つにしろ負けるにしろ、戦争はこの犠牲を払ってまでやらないといけないのか...と考えさせられる。
2022年にロシアがウクライナへ軍事侵攻し現時点で2年半くらい。早く終わればいいと心より願う。
=メモ=
終戦を迎えたのは47歳(広島原爆は1945年8月6日、長崎原爆は1945年8月9日、無条件降伏1945年)
「黒い雨」が書かれたのが67歳(1965年頃)※当初は雑誌への連載で『姪の結婚』という題名