難しくて読みずらい。どこに着目すればいいのか、なぜグレーゴル・ザムザは蟲になってしまったのか。この本の本質は自分で見つけるしかないような物語。だからこそ、この本の感想は千差万別であり、どのように受け取ってもいいような気楽さはあるのかもしれない。
今回はグレーゴルの身体的変化と心理的変化を主として読んでみた。
グレーゴルは外交販売員として働き、父母妹の一家の大黒柱であった。
ある日起きたら蟲になっていたグレーゴル。大き目のダンゴムシかムカデを想像する。蟲になっていると気づいたにも関わらず、起きて服を着て朝食をとり仕事に行こうとする。日が経つに連れて、だんだんと蟲の習性のように暗い部屋の隅に隠れたり、壁や天井を這いまわることを好んだりするようになる。
また、家族の変化も感じられる。はじめはグレーゴルを気遣い食事を用意したり、悩みながらも父母は働き、妹も家計を助けるようになるが、だんだんとグレーゴルを邪魔な存在(蟲)として扱うようになる。
そして、お互いの心が離れていく・・・。
身体的なものから「蟲」になっていったのか、環境によってなのか・・・。
自分自身の思い込みや周りの環境というのは、自身を形作るうえですごく影響を与えてくれている。
周りの変化によって自身が変わっていくこともあるし、自身の変化によって誰かにも影響を与えているのかもしれないと改めて思った。