読書⑮「高瀬舟」森鴎外著

弟殺しの罪で島流し(追放より重く死罪より軽い刑)にされる喜助。

昨今ニュースにもなっている安楽死について改めて考えさせられた。

自殺幇助には刑罰がある。喜助は「島流し」という罰を受けることで、自分の犯した罪に報おうとしている。罰を受けることによって自分自身を許せるのではないかと思った。

安楽死は条件付きだけど賛成の立場だ。自殺幇助の罪はつらすぎる。

森鴎外は小説家であり教育者であり軍医でもある。高瀬舟は1916年に発行されており100年以上経っている今も安楽死については結論が出ていない。それくらい難しい問いなのだ。

=あらすじ=

喜助の両親は喜助が幼いころに病で亡くなり、それ以降喜助は弟と2人で暮らしていた。

しかし、弟は病気で働けなくなり、兄の負担になりたくない思いから自らの喉笛に刃を当て死のうとした。うまくいかずさらに刃を深く突き刺す。

その時仕事から帰宅した喜助は医者を呼ぼうとするが、「刃を抜いてくれれ死ねるだろう」「抜いてくれ」と弟に頼まれた。弟は「医者がなんになる、早く抜いてくれ、頼む」と恐ろしい顔で催促する。ついに観念した喜助は弟の言う通りに剃刀を抜いた。