読書⑭「夜は短し歩けよ乙女」森見登美彦著

京都が舞台。男子大学生が意中の黒髪の乙女に対し外堀を埋めながら奇天烈な世界に巻き込まれる物語。

文体が独特で飲めり込める時もあったがそうでない時は少し苦しかった。ただ文を目で追って雰囲気で読んだ方が楽しめる気がする。

男子大学生の「人事を尽くして天命をまつ」の人事の尽くし方が面白い。春の百鬼夜行での巡り合わせ、夏の古本市での火鍋&こたつでの死闘、秋の学園祭でのゲリラ演劇、そして冬の李白風邪。恋愛ファンタジーなのかギャグなのか。

人事を尽くされた「黒髪の乙女」は好奇心旺盛、純粋、無邪気、巨大な緋鯉のぬいぐるみを背負っている姿は想像するととても可愛らしい。「なむなむ」「オモチロイ」「おともだちパンチ」などの語感もよい。

終始登場する「だるま」は起き上がりだるまのことかな。男子大学生の不屈の精神?と黒髪の乙女の面白さを表していると思いたい。